アリータ・バトルエンジェルを観た。原作と比べて気になったところ【ユーゴ】

アリータ・バトルエンジェルを観てきました


銃夢のハリウッド映画化
アリータ・バトルエンジェルを観てきた。


全体的に、クズ鉄街の世界観が、丁寧に描写されており、質感まで伝わるほど。
原作にかなり忠実、
かつ、約2時間に纏める中で、
3巻に出て来て映画として派手な動きのある見せ場、
モーターボールのシーンを
本来なら1、2巻のストーリーの今作の中に、まあ納得する形で劇中に盛り込んでおり、
ほぼ満足と言いたいところ… 

アリータのなんか変な顔も、目は大きすぎるけど
観ていればそんなに気にならない。
(個人的には、感情の動きに合わせて
黒目の大きさが変わったら、アニメ的で良かったのではないかと思う。
ずーっと黒目が大きいままなのが何か不自然だ。)

ただし、原作銃夢を読んでいるせいか、
映画の中で違和感のある部分があったので
-10点で
90点というところでしょうか・・・

その-10点のところを3000文字以上かけて発表していきたい。



(注意)この記事は漫画と映画のネタバレを含みます




まず、イドの元嫁のチレンというキャラが登場すること。
公式サイトより

チレンはOVAだけに登場するキャラらしくて、原作には登場しない。

この人が登場する事で、イドと夫婦、かつ、その娘がアリータ→その娘は既に無くなっている
という設定になっており、
イドが「アリータを娘の代わりにしたい」という父親の面が強く強調されているのだ。
映画のイドはおじさんの外見で、まさに年齢的に父親なのでそれはしっくり来るのだが…

原作のイドは割と若く、おそらく30代くらいに見え、
そこまで父親、という感じではない。

娘の代わりにガリィを育てて入るというより、
最初はクリエイターとしてガリィを自分の思い通りの人形として、
(自分にとっての理想とする)人生を歩ませたがっている男、として描かれているように思う。
ガリィを「自分の作ったもの」と表現しているし、原作序盤ではまだガリィの記憶は判明しておらず、空っぽの人形だと思っているからだ。

銃夢2巻より
銃夢2巻より


そもそも、原作作中でガリィはイドの事を父親として見ておらず、パパと読んだ事など無かったはず・・・・。

ガリィはイドに勿論父親的な感情も持ってるけど、

男、父、家族、愛してる人、クリエイター、医者、メンター

凄く色んな意味を持つイドとガリィの関係が、

映画の中では
死んだ娘「アリータ」の代わりにサイボーグを拾ってきてアリータと名付けたせいで、
役割が父親に固定されてしまっている。

一層そうさせたのが、前妻チレンという存在なのだ…

私は無印しか読んでないのでイドの娘の設定が続編に出てくるのかもわからないが、
無印銃夢だけ読んでいれば無かった情報であり
ガリィは飼っていた黒猫の名前だったはず…

海外では成人×未成年のカップリングが日本より厳しい目で見られているため、
イドが「少女のサイボーグを拾ってきた小児性愛者の変態」に見えないために
健全な父親の面しか残さなかったのか???
もっとも作中でアリータは「実は300歳ではないか」という事になっているのだがw
この調子だとイドが殺人好きな設定もハリウッド版では無くなっていそうだ。

チレンというキャラが居ても別に嫌いではないが
やはり蛇足だと思うのは、
チレンが微妙に悪役として存在するせいで、序盤で重要なユーゴの大事な部分が
欠落しているからだ。

ユーゴ(ヒューゴ)




アリータ・バトルエンジェルは、ヒューゴ(=ユーゴ)の死がクライマックスに来る構成になっており、
見せ場にしたいモーターボールを挟んでラストにユーゴの死を持ってきてることから、
やはりこれが脚本上最重要という扱いになっているのだろう、


しかし、

ちょっと残念な点がある。

それは、ユーゴ、映画ではヒューゴという名前になっていたが
この映画がグロテスクで悲惨な描写を避けているせいで、
クズ鉄街もヒューゴというキャラも悲惨な部分を削られてしまっているのである。

ユーゴはガリィの恋した少年だが、
サイボーグの背骨を抜きとって売る事を生業としており、
それは彼の夢を叶えるために必要な事だった。
銃夢2巻より
そして、ガリィは人間の男の子ユーゴに恋をするが、
サイボーグの自分を受け入れて貰えるか葛藤する。
この葛藤が原作の素晴らしいところ
銃夢2巻より
ユーゴは天上の楽園ザレムに行くという夢を持っており、
ガリィはそれに尽くす女の子であった。
銃夢2巻より

しかし、映画のヒューゴはあっさりとサイバネ者のアリータを好きになり受け入れ
二人はあっさり両想いになる。

何故この設定にしたのだろうか?
ハリウッド的には美しいラブストーリーでないとOKが出ないのだろうか?

映画のヒューゴというキャラはアリータのために、
最後はパーツ泥棒を辞めるが、
原作にはそんなシーンはない。

ユーゴは自分の夢のためならクズ鉄街の人間を犠牲にする事に罪悪感など感じてない。
銃夢2巻より
ユーゴ自身クズ鉄街に虐げられている存在だからだ
銃夢2巻より
彼は人として罪を犯しているが、
彼が天上の何か高貴な素晴らしい世界に憧れ、
そこを目指すことは
読んでいれば誰でも共感する事だ。

漫画の中のクズ鉄街は夏の乾いたアスファルトの上の焼け焦げた虫達がのたうち回ってるような悲惨な世界だが、
映画のクズ鉄街は黄金に輝いており、最初からユーゴや温かい仲間達(子供)がモーターボールごっこしてるので、悲惨な世界はマイルドに描かれている。 

原作では、ザレムしか見ていないユーゴに受け入れて欲しくて
ガリィは勇気を持って告白する。
銃夢2巻より
銃夢2巻より
銃夢2巻より
ユーゴの兄が彼の妻に賞金首に売られた事を語る。
これも伏線で、
夢を見る男と、男に自分を見てほしい女という構図は
ユーゴとガリィにもそのまま適用されている。

ユーゴはザレムに魅入られているが、ガリィが彼に必死で愛を訴えかけると
時々反応して応える。
ユーゴは全くガリィを愛していないわけではなく、
あのまま生きていればガリィの愛に少しずつ心が動かされていったに違いない。

この超名ゼリフも、映画ではチレンが居たせいでなんかあっさりしていた。
チレン嫌いではないけど、私の中の銃夢には要らない要素だった・・・
銃夢2巻より
英語版ではこの台詞はあんまりピンと来ないのだろうか??
サイボーグのガリィが致命傷を負ったユーゴを見て「細胞が死んでいく 死が拡がっていくのが見える」と表現する
銃夢の超絶名台詞の一つである。

ここのシーン、映画ではヒューゴが
「パーツ泥棒して襲った相手を殺してない 
君を想ったら出来なくなったんだ」
と弁解し、
アリータの愛で善人に変ったことをアピールするのだが、
そんなの要らないよwww
何故ヒューゴが良い人間でないといけないんだろうか???
銃夢2巻より
このザパンとの対峙するシーン、映画ではビルの端では無く
普通の平地で展開されたw
ビルの縁で行われるからこそ緊張感のあるシーンだと思うんだけど…

そして、ユーゴがベクターに騙されていたと知るシーン、
映画ではヒューゴは寝ていて、起きない。アリータがベクターと話をつけにいくが、
原作では目をさましたユーゴがそれをちゃんと聞いていて、
銃夢2巻より
ショックを受けて暴れるシーンがある。
銃夢2巻より
しかし、映画ではここはカットされている(泣)

夢を見て騙されていた彼が失望して自暴自棄になる
映画ではこのような見苦しいシーンはカットされ、
テンプレ悪役のようなディスティノヴァの主張のシーンが代わりに入っているのであるww

漫画を読んでない人は、あれを見て、
「ノヴァ許せねー」ってなるのだろうか
銃夢3巻より
少年がキラキラ夢を見て失望して自暴自棄になる
この変貌こそ木城先生が描きたかった人間ドラマではないのか

ユーゴは愚かだけど、彼の取り巻く世界では当然の事で、
その世界に生きる少年としてのリアルな
その末路さえも魅力的だったのだ…
銃夢3巻より
銃夢3巻より

(ボヤケてるのでわざわざフォントを打ち直した↓)
この超絶名シーンもなく、
ヒューゴのザレムへの思いも映画で独白される事は無かった…
銃夢3巻より
そう。独白こそが銃夢の魅力なのに
映画は動きがないとダメだから、
こういう内面の吐露はカットになってしまうのだろうか???
そんなわけないでしょ??
製作者には、この台詞はどうでも良かったんだぁ…   (´・ω:;.:...

ここまでして、ユーゴがザレムへ行きたい
っていう渇望を、映画では描かなったなあと思う。
銃夢3巻より
そう、ノヴァがテンプレ悪役という変な登場をしたせいで、
「ヒューゴ、行っちゃだめ、それはノヴァが私を傷付けるための罠なの!」みたいな展開になるw

違うでしょ、ユーゴは薄汚くて恐ろしい街に居たくないからザレムの側に居たくて自発的にこのチューブを登っていくんですよ(泣)
ユーゴの汚い部分を削らないで(泣)

ザレム←ユーゴ←ガリィの構図が映画では無いから
この名シーンの葛藤が無い
銃夢3巻より 
銃夢3巻より
ユーゴの利己的な部分や自分勝手な部分が排除されていたせいで
このやりとりが無くなっていたのが残念

銃夢3巻より
ガリィが必死で説得するとユーゴの心は動き
ガリィのほうへ向く
そしてガリィは心の中で勝利宣言
女が 愛する男を「夢」ではなく自分 に向かせた瞬間。

本当に素晴らしいシーンだと思います
映画では全くあっさり(泣)

いや、これが無いって何がダメだったんだ…
本当にこのシークエンスは映画に必要なかったのか??

映画製作者にはどうでもいい要素だったのでしょうorz

ヒロインの相手役は清廉潔白ないい男でなけりゃ
健全ではないって あちらさんは考えているのかねぇ…

原作のままぶった切ると、続編に続けられないから、
テンプレ悪役ノヴァを出して、ユーゴの想いは削ったのだろうか…

大泣きしようと思ってたのに 最後 アレッ?
てなった

原作では終わりを悟って笑顔で落ちていくはずのユーゴ
なんか恨めしそうに見えて…

と、いうことで
・チレンというキャラが蛇足、-
・テンプレ悪役化したノヴァ-
・ユーゴが美化され過ぎ-

の点が原作ファンとしてモヤっとした部分だったけど、
原作知らないで観てる人にはあれでまとまってて良いのかもしれませんね・・・

原作を読んでない方は、是非読んでみてください。
映画よりグロテスクなシーンが多いですがオススメです。


あの犬は映画オリジナルキャラ???



序盤から可愛いワンちゃんが登場して癒されますが、
オリジナルキャラかと思いきや、
原作にはキバ公という本物の犬が登場するんですね
銃夢1巻より


















































サイボーグ犬のフューリーの事は覚えてたのですが、
キバ公の存在はすっかり忘れていました。

原作の犬は死なないけど、映画の犬は死んでしまうんだ…ww

犬が死ぬ映画だから犬好きは見ないほうがいいという人も居ますが、
とっても可愛いので寧ろ見たほうが良いですよ。

と、色々文句を書いたものの、
あれだけのCGの映画を作れるのはハリウッド様だけなので
わりと原作に忠実に映画化されているし、
ジェームズキャメロン監修で映画化したこと自体が大勝利ですね。

アメリカでもそこそこヒット?中国で大ヒットしてくれているようで
続編が作れそうでしょうか?
中国は「パシフィック・リム」といい、日本リスペクト作品を毎回支えてくださりありがとうございます

続編は動きのあるモーターボール編とザパン戦までですかね。
映像的にも一番躍動感がありそうで楽しみです。





十鴎 SO-OU

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